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1.決算書って何のためにあるの?
自分たちが一生懸命働いた成果が最終的に評価されるのが「決算書」です。決算書の読み方がわかれば、自分の努力が決算書のどの数字に直接結びつくかが実感できるから、ますますやる気がわいてきます。

経営者の方・ビジネスマンなら、自分たちが頑張ってたくさんの売上をあげれば、それだけ会社が儲かることを漠然と感じているでしょう。ただ、それがどのくらい会社の儲けとなっているのか、どのくらい会社の資金繰りに活かされているのかまではなかなかわからないものです。

そこで、決算書を読むことが重要となってきます。決算書は、自分たちが稼いだお金が何にどのくらい使われ、最終的にどのくらい会社の儲けとなったのかをはっきりと示してくれます。

つまり、決算書に記載されている数字は社員が一生懸命働いた最終的な成果そのものです。だから、決算書の仕組みを理解して自分達の成果をその数値で確認すること、数値が改善されて「よく頑張ったね」と決算書から誉められることが仕事のやりがいにつながります。

ところで、結果を表す数字ときいて、決算書なんか読めなくても売上棒グラフさえあれば営業マンとしての稼ぎは一目瞭然、と考える人もいるかもしれません。

しかし、売上、つまり稼ぎは儲けの出発点でしかないことに気づいてほしいのです。稼いだ金額から自分の給料や商品の仕入代金など、商品を販売するための「コスト」を全て差し引いて、会社の「儲け」となります。

もしも商品を販売したときに「稼ぎ」以上の「コスト」がかかるなら、会社は儲かるどころか赤字となってしまいます。つまり、会社はどのくらい稼いでいるかよりもどのくらい儲けているかの方が重要なのです。決算書には「稼ぎ」だけでなく、「コスト」や最終的な「儲け」も記載されています。売上棒グラフが会社の数字の出発点だとすれば、決算書はそのゴールだと言っていいでしょう。

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2.決算書にはどんなものがあるの?
一般的に決算書と呼ばれるのは「貸借対照表」、「損益計算書」、「キャッシュフロー計算書」の3つです。これらの決算書は会計期間の終わりに作成され、株主総会で承認を受けた後、公表されます。

一口に「決算書」と呼んでいますが、実は主なものだけでも「貸借対照表」、「損益計算書」、「キャッシュフロー計算書」の3つがあります。

3つの決算書に共通しているのは事業年度が終わると作成されるということです。この事業年度というのは通常4月から3月までの1年間で区切られています。つまり、決算書は1年ごとに作成されることが決まっています。そして、この事業年度1年間の単位は一会計期間とも呼ばれます。3月になるとよく「年度末」や「期末」という言葉を耳にするでしょう。これは3月でその事業年度が終了すること、決算の期が終了することを意味しています。

1年で会計期間を区切って決算書を作成することにはいくつかの理由があります。

まず第一に、会社の経営状態を反省するタイミングが必要です。つまり、会社が儲かっているか、お金が上手くまわっているかを1年ごとに決算書で確認し、次の期にさらに儲かるための施策を練らなくてはなりません。また、税務署に税金を支払ったり、株主に配当金を支払う場合にも、1年という単位で区切って決算書を作成することは便利なのです。

では決算書はどのようにして作成されるのでしょうか。まず、期末になると経理担当者が会社全体のお金の流れや業績をまとめ、決算書の案を作成します。

できあがった決算書案は役員会にかけられ、役員会の承認を得た後、株主総会に提出されます。この決算書案が株主総会で認められると、ようやく一般に公表される決算書となるのです。大きな会社なら決算書を公表する前に公認会計士が監査を行うこともあります。

ところで、決算書は「貸借対照表」、「損益計算書」、「キャッシュフロー計算書」の3つに分けられてはいますが、これらはそれぞれ独立したものというわけではなく、深く連動した関係にあることを覚えておきましょう。

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3.損益計算書ってどんなものなの?
損益計算書の基本的なしくみは、<稼ぎ-コスト=儲け>であり、これを個人の生活に置き換えると、給与明細表の<額面給料-税金・保険=手取り給料>と同じです。「儲け」は多いほどよく、会社も私生活も潤います。

損益計算書とは、「稼ぎ」から「コスト」を差し引いて「儲け」を導くものです。

あなたの生活に置き換えれば、給与明細表と賞与明細表を1年分集めたものです。親しい友人と給料の話になり、「私の月給は20万円」などと言うと、もの知り顔をして、「それは額面なの、手取りなの」と聞く人がいるでしょう。そう言われて改めて給与明細表をしげしげと見つめると、額面の給料からいろいろ差し引かれて、手取りの給料になっていることがわかります。

損益計算書の「稼ぎ」とは、額面の給料、額面のボーナスに当たります。毎日一所懸命働いて成果が上がれば、この金額は上がります。

そこから「コスト」を差し引きます。サラリーマンの場合、「稼ぎ」を生み出すために、モノを仕入れたり、人を雇ったりすることはないので、「コスト」とは、健康保険、雇用保険、年金、税金のことです。

これが額面の給料から天引きされ、手取りとなります。これが「儲け」です。儲けは多ければ多いほどすばらしいですね。

たとえば額面の給料が20万円で、社会保険と税金が4万円だとすると、手取りは16万円です。手取りを増やすためには、額面の給料がアップするか、保険と税金の支払い額が少なくなればいいのです。

つまり、「儲け」を増やすためには、「稼ぎ」を増やすか、「コスト」が下がればいいのです。サラリーマンの場合、額面の給料を、社会保険や税金が上回ることはありません。当たり前ですが、手取りはいつもプラスで、「利益」は常に出ているのです。でも、会社の場合は、「コスト」が「稼ぎ」を上回り、「儲け」がマイナスになることがあります。これを赤字といいます。反対に、「稼ぎ」が「コスト」を上回り、「儲け」がプラスになると黒字です。

日本の会社を見渡すと、赤字会社が圧倒的に多いのです。会社は放っておくと、すぐに赤字になってしまうものです。社長や上司は、このことに頭を痛めています。

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4.キャッシュフロー計算書ってどんなもの?
キャッシュフロー計算書は会社の1年間の現金の増減を、日々の活動に関するお金、投資に関するお金、借金に関するお金に分けて表したもので、家計簿(小遣い帳)によく似ています。

キャッシュフロー計算書は、会社の1年間のお金の出入りを、3区分(日々の基本活動に関係するお金、投資に関係するお金、借金に関係するお金)に分けて、その増減を表したものです。

これをあなたの生活に置き換えてみましょう。キャッシュフロー計算書は、じつは家計簿や小遣い帳によく似ています。

最初に、「日々の基本活動に関係するお金」の増減。1年間に、給料や賞与として(ときには親からの小遣いなどで)、どれだけお金が入り、社会保険と税金、生活費(食費や家賃)としてどれだけお金が出ていったかがわかります。「入るお金」よりも「出るお金」が少ないほうがのぞましく、反対になると生活は破たんします。

第二に、投資に関係するお金の増減。1年間に、食費や家賃以外に、お金をどう使ったかがわかります。たとえばその年に、車、パソコン、オーディオセット、ジュエリーを買ったとしたら、その合計金額がわかります。「出るお金」が表示されることがほとんどですが、買った品物をリサイクルショップや質屋に売った場合などには、お金が入ってきます。

第三に、借金に関係するお金の増減。1年間にどれだけ借金し、どれだけ返済したかがわかります。この部分は家計簿(小遣い帳)にはないかもしれません。カードローンの明細表のようなものです。

「日々の基本活動に関係するお金」から、「投資に関係するお金」を差し引くと、手元に残っていて、「これから自由に使えるお金」の額がわかります。おわかりのように、この金額は多ければ多いほどよいのです。楽しみもふくらむというものです。

ここに「借金に関係するお金」を加えると、1年間にどれだけお金が増えたか(減ったか)がわかります。でもこのなかには借金も入っているので、増えたからといって喜んでばかりはいられません。

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5.貸借対照表ってどんなもの?
貸借対照表は決算日における会社の財政状態を、どのようにお金を調達し、どのように使ったかを表します。個人に置き換えると、借金したり働いたりして得たお金を、貯金したのかモノを買ったのかを表すことになります。

貸借対照表は決算日における会社の財政状態を表します。財政状態などというとややこしいですが、要はどのようにお金を工面して、そのお金をどう使ったかがわかるということです。

どのようにお金を工面したかは、貸借対照表の右側に表れます。工面した方法は、人から借りたお金、自分がこれまでに稼いだお金の2つに分けられ、その合計が表示されます。

お金の使いみちは、貸借対照表の左側に表示されます。工面したお金と使ったお金は同額のはずだから、貸借対照表の左右は同額になります。ですから貸借対照表のことをバランスシートといいます。

これをあなたの生活に置き換えて考えてみましょう。今日は、3月31日。恒例となった年に一度の財産チェックの日です。あなたは自分の財産を貸借対照表にまとめてみます。

最初に右側をまとめます。ここには自分が生活につぎこむお金をいくら調達したかを表します。 人から借りたお金は、自動車購入時のローン残高とクレジットカードの未決済分です。自分がこれまでに稼いだお金とは、手取りの給与から生活費を差し引いたお金の蓄積です。

つづいて左側には、預貯金。それからこれまでに買った車、パソコン、ビデオカメラ、時計、オーディオセット、ジュエリーなど、個人財産が入ります。

これがあなたの財産です。まとまったところで考えてください。財産はどういう状態がいちばん好ましいでしょうか。

昔から「借金も財産のうち」なんて言いますが、実際には、借金が増えたからといってうれしくはありません。貸借対照表の右側が増えるなら、自分で稼いだお金がたまって増えていったほうがいいでしょう。

では、どうして借金が増えるのでしょうか。それは使ったからなのです。貸借対照表の左側に上がった車、パソコン、ビデオカメラ、時計、オーディオセット、ジュエリー…。こうしたものが増えたから、工面しなくてはならないお金も増え、借金しなくてはならなかったのです。

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6.決算書は誰が使うものなの?
決算書を読めば会社の経営状態を判断することができるから、銀行が融資の判断材料にしたり、投資家が投資の際に活用することもあります。しかし、決算書を最も活用しなくてはならないのは経営者やビジネスマンなのです。

作成された決算書を使うのはどういう人か考えてみましょう。

まず、決算書が必要になるのは、会社が銀行からお金を借りるときです。銀行は会社の信用分析を行うために決算書の提出を求めます。つまり、銀行は決算書をみて、貸した資金を返済する体力のある会社かどうかを判断し、資金の融資を行います。

営業担当者も決算書を読まなくてはならないときがあります。これは得意先の会社の経営状態を分析し、商品を売ったら代金を支払ってくれるかどうかを判断する場合です。この一手間で、商品は売ったが代金は支払われないという最悪の状況を未然に防ぐことができます。

さらに一般の投資家も決算書を利用します。株の購入を検討している会社の決算書をみて、これから儲かる会社かどうか判定する材料とするのです。

最も決算書を活用しなくてはならないのは社員です。社内会議でいきなり決算書をみせられたけど、何が書いてあるのかさっぱりわからなくて困ったという話を友人から聞いたことはないでしょうか。

決算書の数字から今期の成績はどうだったかを確認し、さらに成績を上げるためにはどうしたらいいかを考えないかぎり会社は成長しません。つまり、自社の決算書は会社の業績を改善するためのすぐれたツールなのです。決算書の読み方を理解して、会社の業績アップに積極的に貢献しましょう。

今まで決算書をみるのは社長や役員の仕事と考えられてきました。しかし、今後は社員一人ひとりが決算書から自社の経営状態を判断し、業績アップの施策を考え、実行する姿勢が成長する会社の条件となるでしょう。

では、自社や得意先、投資先の決算書はどこで手に入れられるのでしょうか? 会社の広報部に問い合わせてもよいですが、多くの会社の決算書はインターネットのウェブサイトや新聞公告で手軽に入手できます。

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7.利益は何のためにあるのか?
よい会社の条件は、「資金繰りが上手くいっていること」と「利益(儲け)があがっていること」。あがった利益を蓄積すると、借入金が減って現金・預貯金が増えるので強い会社になります。

よい会社の条件は2つあります。1つは、滞りなく販売した商品の代金を回収し、仕入代金の支払を行えること、つまり資金が上手くまわっていることです。

そして、もう1つの条件は会社が儲かっていること、つまり利益が上がっていることです。

ところで、利益が上がるというのはどのような状態でしょうか。利益が上がると借金を返済することができるので借入金が減少します。また、利益が上がれば資金に余裕が生まれ、会社の預貯金が増加します。

利益が上がり、蓄積されれば会社にとって次のようないいことがあります。

まず、緊急の出費に対応できます。例えば、販売した商品に欠陥が見つかり、クレームを受けたときがこれにあたります。欠陥商品を新しい商品と交換するなどの対応が必要となりますが、これには資金が必要となります。もしも利益が蓄積されていなければこのような対応ができず、得意先からさらに信用を失うことになります。

また、赤字になってしまったときにも会社が倒産するのを防ぐために利益を蓄積した資金が役立ちます。

さらに、将来の事業展開のために設備投資を行いたい場合にも、銀行から資金を調達することなく、自社の預貯金で賄うことが可能となります。

これを個人の場合に置き換えてみましょう。会社からもらう給料が増えると、住宅ローンやカードローンを早く返済することができるし、銀行の預貯金も増えていきます。

これが「利益が蓄積される」状態です。その結果、預貯金残高が増えるので病気や怪我などで働けなくなったときにも安心だし、会社をクビになってしまったときでも何とかなります。さらに新たに住宅を購入するときにも預貯金を頭金として使えるので、借金が少なくてすみます。非常にゆとりのある生活といえるでしょう。

つまり利益が上がって蓄積されると会社の資金に余裕が生まれ、安定した会社経営を行えるのです。

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8.3つの決算書には関係があるの?
貸借対照表と損益計算書に加え、キャッシュフロー計算書が登場したことで主な決算書は3つになりました。この3つに記載される数字は互いに連動し、会社の経営状態を表しています。

従来の「貸借対照表」、「損益計算書」に「キャッシュフロー計算書」が加わり、主な決算書は3つとなりました。

(1)貸借対照表は会社がどこから営業活動に必要な資金を調達し、何に使っているかを示しています。

(2)損益計算書は会社が1年間でどのくらい儲けたかを表しています。(3)キャッシュフロー計算書ではどのような原因でお金が増えたか減ったかを示しています。

このように、3つの決算書の役割はそれぞれ異なっています。しかし、3つの決算書は「損益計算書がよくなると貸借対照表もよくなります。キャッシュフロー計算書がよくなれば、さらに貸借対照表がよくなります…」という関係になっています。

つまり、キャッシュフロー計算書が登場したことで、1つの決算書がよくなることで、他の決算書も改善されるというサイクルができました。3つの決算書に記載される数値は互いに連動し、3つの決算書を全体的にみることで、会社が儲かっているかどうか、正しく判断できます。

ここで会社の経営状態を判断するためにはそれぞれの決算書で指標となる比率を1つずつ、つまり3つの比率をチェックすればよいのです。そしてこれらの指標は5つの項目で努力すれば全て改善されます。この単純な関係が決算書を身近に引き寄せたといえます。

また、今までの貸借対照表や損益計算書の数値だけでは、専門的な知識を持ったプロでないと会社の経営状態を正しく判断することは難しいものでした。

しかし、キャッシュフロー計算書が登場し、会社にどのくらいの現金や借金があるのかが一目瞭然となったことで、一般の人にもいい会社なのか悪い会社なのか、わかりやすくなりました。

つまり、難しくて馴染みのなかった決算書が、意外と簡単に理解できる、身近なものとなったわけです。最近、決算書が面白くなり、注目されるようになった理由はここにあります。

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